教育費の準備にはどんな方法があるのかな?
定番である学資保険のお話しをしますね。
学資保険の特徴と必要性について解説をします。
また、返戻率の高さで人気のある、フコク生命とソニー生命の学資保険を比較しようと思います。
よろしくお願いします。
学資保険の特徴
学資保険は教育費を準備する方法の1つとして定番の商品ですが、主な特徴は次の5点です。
契約者(一般的には両親のどちらか)に万が一のことがあった場合、その後の保険料払込は免除される。
入学の準備金等が必要な時期に、一時金や満期金を受け取ることが出来る。
契約者と被保険者(お子さま)の年齢・性別によって保険料が異なる。
契約者に持病などがあると契約出来ない場合がある。
保険の途中で解約をしてしまうと、払込保険料が全額戻ってこないことがある。
私は20年金融機関に勤めていますが、過去に数人から
「契約者が亡くなった」
という申し出を受けたことがあります。
残された配偶者の方は、悲痛な面持ちで疲れ切った様子でしたが、
「学資保険に入っておいて良かった」
と言っていただいた時には、私も救われた気になりました。
1の特徴は学資保険だけのものなので、万が一のことを考えると契約をしておいたほうが良いと思います。
なお、ここで言う契約者に万が一のことがあった場合の「万が一」とは、一般的には次のことを言います。
死亡した時
所定の高度障害状態になった時
不慮の事故によって、その事故の日から180日以内に所定の身体障害状態になった時
学資保険の必要性
「私立高校の授業料実質無償化」と「高等教育の修学支援新制度」が4月1日から開始します。
しかし前回の記事で書いたように、それらの支援があっても自己負担がかかるので準備は必要です。
具体的には、私立高校に通った場合、授業料実質無償化の支援を受けた場合でも、授業料以外の学習塾代など3年間で約220万円必要です。支援を受けなかった場合は約300万円必要になります。
また、私立大学理系学部に通った場合は、高等教育の修学支援新制度の支援を受けた場合でも、4年間で生活費などを合わせると自宅通学で236万円、自宅外通学で324万円必要です。支援を受けなかった場合は、自宅通学で452万円、自宅外通学で990万円必要になります。
以上をまとめると下の表のようになります。
- 私立高校と公立高校の3年間の教育費
授業料実質無償化の 支援あり |
授業料実質無償化の 支援なし |
|
---|---|---|
私立高校 | 220万円 | 300万円 |
公立高校 | 130万円 | 183万円 |
(「平成30年度子供の学習費調査」より筆者編集)
- 私立大学と国立大学の4年間の教育費
学費 | 自宅通学の 生活費 |
自宅外通学の 生活費 |
自宅通学の 合計 |
自宅外通学の 合計 |
|
---|---|---|---|---|---|
私立理系 支援なし |
537万円 | 160万円 | 452万円 | 700万円 | 990万円 |
私立理系 支援あり |
236万円 | 0万円 | 88万円 | 236万円 | 324万円 |
私立文系 支援なし |
397万円 | 160万円 | 452万円 | 557万円 | 850万円 |
私立文系 支援あり |
93万円 | 0万円 | 88万円 | 93万円 | 181万円 |
国立 支援なし |
257万円 | 180万円 | 440万円 | 437万円 | 697万円 |
国立 支援あり |
54万円 | 39万円 | 120万円 | 93万円 | 174万円 |
(「平成30年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」と「平成28年度学生生活調査結果」より筆者編集)
支援を受けるための条件や金額などの詳しい情報はこちらの記事を是非ご覧ください。
これから紹介する学資保険は、保険料を児童手当で賄うことができるように、一時金と満期金を合わせて200万円受け取れるプランになります。
しかし先ほどの情報どおり、仮に私立高校と私立理系大学に通った場合の合わせた教育費は
私立高校の授業料実質無償化と高等教育の修学支援新制度の支援を受けて、自宅通学の場合で456万円必要
私立高校の授業料実質無償化と高等教育の修学支援新制度の支援を受けず、自宅通学の場合で1,000万円必要
であるため不足します。
不足分はそれ以外の積立をするか、奨学金を利用してお子さまが就職した後に返済することになります。
奨学金の種類や利用状況などの情報はこちらの記事を是非ご覧ください。
また、児童手当については内閣府のホームぺージをご確認ください。
学資保険の比較
ここから学資保険の商品の紹介と比較をします。
返戻率の高いフコク生命とソニー生命の商品をとりあげます。
契約者を35歳の父親、被保険者を0歳の男の子で設定して比較しています。
フコク生命の学資保険「みらいのつばさJ型」
まずはフコク生命です。
(出典:価格.comホームページ)
月払保険料14,383円で払込保険料総額1,898,556円ですね。
返戻率(戻り率)は
2,000,000円÷1,898,556円×100=105.3%
となります。
受取り総額は200万円ですが、受け取るタイミングは、18歳(17歳7か月直後の11月1日)で100万円、22歳で100万円となります。
ポイントは次のとおりです。
高校入学時の準備が出来ない。
保険料は11歳の時に払込満了となる。
22歳時に100万円受け取れるので奨学金の返済資金として準備できる。
お子さまの死亡時に戻るお金が「責任準備金相当額」なので払込保険料額より少ない場合がある。
ソニー生命の学資保険
続いてソニー生命の学資保険です。
(出典:ソニー生命ホームページ)
月払保険料15,812円で払込保険料総額1,897,440円ですね。
返戻率は
2,000,000円÷1,897,440円×100=105.4%
となります。
受け取るタイミングは、17歳、18歳、19歳、20歳、22歳となります。それぞれ40万円受け取れます。
ポイントは次のとおりです。
高校入学時の準備が出来ない。
保険料は10歳の時に払込満了となる。
17歳から4年間受け取れるので、学費や生活費の足しに出来る。
お子さまの死亡時には死亡給付金として、既払込保険料相当額が支払われる。
両社のポイント比較
フコク生命とソニー生命のポイントを比較すると次のとおりとなります。
フコク生命 | ソニー生命 | |
---|---|---|
月払保険料 | 14,383円 | 15,812円 |
保険料払込期間 | 11歳まで | 10歳まで |
払込保険料総額 | 1,898,556円 | 1,897,440円 |
受取総額 | 2,000,000円 | 2,000,000円 |
返戻率 | 105.3% | 105.4% |
一時金受取り 時期と金額 |
18歳100万円 22歳100万円 |
17歳40万円 18歳40万円 19歳40万円 20歳40万円 22歳40万円 |
保険料払込総額はほぼ変わらないが、フコク生命は11歳まで払い込めば良いぶん、毎月の保険料の負担は軽くなる。
フコク生命は大学入学時にある程度のまとまったお金を準備できる一方で、ソニー生命は在学中の学費や生活費の足しにできる。
なお、今回は大学入学時に準備できるプランで比較しましたが、2社とも中学や高校の入学時に一時金を準備できるプランもあります。
ただ、そのプランの場合だと2社とも返戻率は下がります。
まとめ
いかがでしたか。
学資保険の特徴と必要性について書きました。
学資保険は契約者に万が一のことがあった場合に、その後の保険料払込が免除されるという大きな特徴があります。
ただ、お子さまの進学によっては今回の学資保険だけでは不足しますので、その他の積立をするか奨学金を利用することになります。
その他の積立としては、つみたてNISAや預貯金がありますので、詳しくはこちらの記事を是非ご覧ください。
また、返戻率の高いフコク生命とソニー生命の学資保険を比較しました。
返戻率はほぼ同じですが、フコク生命のほうが払込期間が長いぶん、毎月の保険料負担を軽くすることが出来ます。
受け取る金額と時期については、個人的には大学入学時にまとまったお金を準備できるほうがありがたく感じます。
どちらの保険も早めにコツコツと積み立てることが大事だね!
契約者に万が一のことがあっても、確実に準備できるのが学資保険の大きな特徴です。
少しでも参考になれば幸いです。